カラリパヤット

カラリパヤット(Kalaripayattu)はインドのケーララ州発祥の古武術で、今も修行者たちにより継承されている。
数千年の歴史を持つ世界最古の武術といわれており、のちに海を渡って東南アジアや中国に伝わり、中国拳法空手シラットなどアジア武術の基となった。

現在でもインドの一部の地方では、カラリパヤットのマスターを目指す若者たちが日々修行に励んでいる。
全ての技術を修めマスター(高位修行者)となったものは優秀な戦士・医師・指導者として尊敬を集める。


ヨガの修行で極限まで体を柔らかくし、跳び上がったり深くかがんだりといったダイナミックな動きで戦う。

カラリパヤットの成り立ち

カラリパヤットの源流は二つ存在する。

一つは、紀元前から南インドで発展していたタミル武術
これが他民族との交流が少ないケーララ州でさらに独自の武術へと発展をとげていた。
(カラリパヤットは達磨(だるま)大師によってインドから中国の少林寺に伝えられ、少林拳となったという伝説がある。しかし正確には達磨大師が伝えたのはこのタミル武術である)

そしてもう一つは、5世紀の中ごろ、インド北西部からやってきたアーリア系民族によりもたらされた武術である。
ケーララの地で2つの文化が混ざり合った結果、現在のカラリパヤットと呼ばれる武術が誕生した。

カラリパヤットは何世紀にもわたり大いに発展し栄えるが、19世紀にインドがイギリスの植民地になった際には、反乱防止のため全面的に禁じられてしまう。このとき貴重な流派や多くの技法が失伝された。

その後1920年代に武術家のC.V.ナラヤナン・ナイールがインド全土を渡り復興活動を行い、カラリパヤットは再興された。

彼が整備した近代カラリパヤットの体系はCVNスタイルと呼ばれており、従来の宗教的思想や複雑な技術を簡略化してしまったと批判されることもある。

テッカン(南派)

一般的なカラリパヤットであるワダッカン(北派)に対して、テッカン(南派)とよばれる一派も存在する。
こちらは本来「アディ・タダ」という名でカラリパヤットとは異なる武術だったが、カラリパヤット復興後からは南派カラリパヤットと呼ばれるようになった。
アーリア武術が混じる前のケーララ土着の武術の形を残している。

カラリパヤットの技術

カラリパヤットの技術は多岐にわたり、修行者は打撃・関節技・投げを含んだ総合格闘技と、棒術・短剣術・盾など様々な武器術を修めければならない。

さらに高位の修行者になるとツボ療術瞑想法を修める。

修行者は毎日のストレッチと型稽古によりタコのように柔軟な体を手に入れる。

武器術では、ウルミという鞭のようにしなる剣が特徴的である。

一般的なカラリパヤットであるワダッカン(北派)は武器術がメインで、ジャンプや柔軟な動きで敵の攻撃をかわす。
それに対してテッカン(南派)では手刀やツボ打ちなどの格闘術に重点を置き、ステップを利かせた立ち回りで相手と打ち合うことを前提としている

カラリパヤットはどんな人に向いてる?

カラリパヤットは単なる武術にとどまらず、ツボ療術、薬草の知識、オイルマッサージ健康法、守護神カラリへの信仰などの土着の文化を含んでいる。
インドの伝統医学や信仰など異文化に触れてみたい方に向いているだろう。

日本では、ヨガエクササイズとしてカラリパヤットを教える教室があり、武器術を教わることもある。またオンラインで学べる教室も増えてきている。

日本カラリパヤットゥ協会
CVNカラリパヤットJAPAN

カラリパヤットを使うキャラクター

美神アンナ(演:広瀬すず)(探偵事務所ネメシス)


セロ・ラフマン(史上最強の弟子ケンイチ)


セイヴァー(Fate/EXTRA)

カラリパヤットに関連する武術

少林拳

インドから中国に渡った達磨大師が少林寺で武術を教え広め、少林拳の創始者となったといわれている。

シランバム
シランバムは南インドに伝わる棒術を中心とした古武術。


歴史的に、カラリパヤットとシランバムはライバル関係にある。
シランバムを使う隣国タミルナードゥ州兵士との度重なる戦によって、ケーララ州のカラリパヤットは技術の研鑽・進化を続けてきた。

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