気功?発勁?中国武術の気になる用語を解説

中国拳法には「気功」や「発勁」など何だかうさん臭い言葉が出てきますね。でもきちんと意味を知れば、けして怪しいものではないことがわかります。
ここでは、よく聞くけれどいまいち意味の分からない中国武術用語をわかりやすく解説します。

発勁とは

発勁は「力を発揮する」という意味です。
中国ではどんな分野でも普通に使われる言葉なので、特に武術の発勁のことは「発力」と言うこともあります。

中国武術の発勁(発力)とは、体の使い方によって大きな力を生み出す技術のことです。
ただ筋力にまかせて打つのではなく、たとえば腰や手足のひねり、重心移動、地面からの反発力、呼吸、ときには相手の力を利用して大きな力を生み出し、ぶつけます。

それぞれの武術に独自の発勁が存在し、まずこれを習得することが武術の基礎とも言えます。

・太極拳の纏絲勁(てんしけい)と呼ばれる発勁


・形意拳の翻浪勁(ほんろうけい)

・八極拳の震脚を使う発勁

【発勁にまつわる用語】

暗勁…一般的なパンチやキックのように力の動きのわかりやすい「明勁」に対して、動作の小さい発勁が「暗勁」と呼ばれます。見た目ではわかりづらくとも実際には全身で勁(力)を巡らせて打っているので、打撃の威力は高く、相手の体内に浸透します。

寸勁…相手とほとんど密着した距離から強い衝撃を与える技法

化勁…相手の攻撃をいなして無効化すること

聴勁…相手の力の動きを読むこと

気功とは

気功とは、中国古来より伝わる心と体を養う健康法です。
体が資本の武術家たちにとって、気功の鍛錬はなくてはならないものでした。

その内容は正座して呼吸を整えたり、軽い運動やストレッチをしたりとヨガのようなもので、決して離れた相手に気を当てて吹き飛ばすような神秘的な技は存在しません。


中国の伝統医学の考えでは「気」というものが体中の経絡を巡っていて、この流れが滞ると体に異常をきたすとされています。気功では呼吸法やストレッチにより気を体に循環させコントロールすることで体が強く健康になると考えます。

中国武術ではそれぞれの門派により独自の呼吸法で深層筋を鍛え、瞑想や体操によるイメージトレーニングで体の隅々までコントロールし戦いに活用します。この訓練を「練功」または「気を練る」と言います

兵器とは

中国語の「兵器」とは武器のことです。
中国武術は元来、戦で使われるものなので、拳術よりも武器術がメインとなっています。

少林拳なら棍、八極拳なら大槍、八卦掌なら八卦刀など門派によって得意な兵器が存在します。


恐ろしい威力・精度を誇る兵器術の表演



また武術により独自の兵器や暗器もつくられています。

↓こちらは峨嵋刺(がびし)、点穴針などといい急所を突く暗器です

ほとんどの中国武術は、もともと槍術や刀術などの兵器術が先にあり、そこから拳術が派生しています。拳術は、兵器の術理を素手に落とし込んで生まれているので、それぞれの兵器の個性が色濃く表れています。

↓例えば、下の動画は李氏八極拳の基本である冲捶(ちゅうすい)という中段突きですが、突き終わったところを見るとまさに両手で持った槍を突き出している格好になっています。


すなわち槍術を習得していれば、徒手でもこのように鋭い突きを繰り出すことができるのです。

↓こちらは弓力拳という拳法。体の動きを弓と矢に見立てることで体をしなやかに使い、鋭い突きを繰り出すことができます

内家と外家

中国武術について語られるとき、内家拳外家拳という言葉がよく出てきます。これは太極拳のような柔らかな武術とそうでない武術に分類するときに使われる言葉です。

内家拳…気功を重視し、しなやかな動きで相手の攻撃をいなす柔の拳法。(太極拳、八卦掌、形意拳
外家拳…肉体を鍛え、激しい動きをする剛の拳法。(少林拳八極拳蟷螂拳など)

またそれ以外にも、長江より北の地域の拳法を北派、南の地域の拳法を南派とする分類のしかたも有名です。

北派武術(北拳)…重心移動による発勁とフットワークを重視する拳法が多い。(太極拳少林拳八極拳など)
南派武術(南拳)…重心をしっかり安定させ、コンパクトで力強いパンチを繰り出す拳法が多い。(詠春拳、洪家拳、白鶴拳など)

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