ここではアメリカ合衆国およびカナダで発祥した様々な武術について紹介する。
アメリカ、カナダでは、様々な人種の武術が交わることで現代的な格闘技が次々に産まれている。
なお、先住民のインディアン(ネイティブアメリカン)にも部族ごとに独自の武器術、サバイバル術、訓練法が存在していたはずだが、書物や型として記録しておく文化がなかったため現在ではほとんどが失伝している。
オキチタウ
1990年代にカナダで創始された武道オキチタウは、先住民である平原クリー族の戦闘技術を基にしている。
オキチタウではガンストック・ウォークラブ(打撃武器)やトマホーク(手斧)など平原クリー族の武器が使われる。
徒手格闘はそれら武器術の応用であり、素手でもまるで武器があるかのように同じ動きで敵を制することができる。
またオキチタウ創設者のジョージ・J・レピンは柔道や韓国のテコンドー、ハプキドー(合気道)などを修めており、それらの技術も取り入れられている。
檀山流(だんざんりゅう)
檀山流は1920年代、ハワイ在住の柔術家、岡崎星史郎によって創始された護身術。
古流柔術を基礎としているが、現地ハワイの武術カプ・クイアルアの技も取り入れられている。
岡崎はハワイの道場で檀山流柔術を教え、その弟子たちがアメリカ本土に渡り各地に広めていった。
日本ではマイナーな流派だが、主にアメリカ西海岸で普及しており、のちにカジュケンボやスモールサークル柔術など多くの実践的武術が派生している。
カジュケンボ
カジュケンボは1947年、ハワイ出身の武術家たちにより創設された武術である。
カラテ、ジュウドー、ケンポー、ボクシングの名前を組み合わせて命名された。また創設時、現地ハワイで流行していた檀山流柔術からも多大な影響を受けている。
カジュケンボは治安の悪いストリートで身を護ることが目的であり、現実性と実用性を重視している。様々な武術の良いところを持ち寄り、実用性の低いものは切り捨てていくというスタイルで、時代とともに変化を続ける流派である。
目突きや金的、人体破壊も積極的に行う実戦武術となっている。
ウェンドー
ウェンドーはカナダで開発された女性のための護身術。
突発的な暴行以外に、知人からの性暴力・DV・セクハラなどにも対応する。
そのため技の講習だけでなく、暴力の生まれる状況についてや、逃げること、言葉や態度で未然に暴力を回避する術などを学んでいく。
モデル・マギング
モデル・マギングはアメリカで考案された女性のための護身術。
アメリカで女性が暴行を受けた数百件ものケースを調査し、危機を回避するための訓練法を確立した。
モデル・マギングのトレーニングでは技を練習するだけではなく、実際に防具を付けた男性講師と全力で戦う、という方法を採用している。
特に地面に押し倒されてからの攻防に重点がおかれている
アメリカ陸軍格闘術
軍隊で訓練される格闘術は、誰もが短期間で習得できることと、殺傷・非殺傷さまざまな局面に対応できる汎用性が求められる。
2002年からアメリカ陸軍で採用されている 現代陸軍格闘技プログラム(MACP)は、マウントテクニックやクリンチの攻防など組み技重視の格闘術に加え、ナイフテクニックを学ぶ。