ヨーロッパのさまざまな武術

ここではヨーロッパで生まれた主な武術について紹介する。

ヨーロッパでは銃火器が早くに誕生したため、格闘術や剣術が他の地域ほど重要視されてはこなかった。
また扱う武器については実用性だけでなくファッションとしての側面があり、時代ごとに流行の武器が変わるため特定の武器術が伝承されにくかったとも考えられる。

現在では過去に存在した西洋武術の研究・再現が進められている。

バーティツ

バーティツは1902年にイギリスで開発された紳士の護身術である。
日本の柔術を主軸としながらも、あらゆる間合いに対応するためボクシングサバット、ステッキによる棒術を取り入れて作られた。
当時のイギリスでは東洋武術の認知度が低かったことや受講料の高さなどが原因で廃れてしまったが、2001年にネット上でバーティツの資料が公開されたことで人気に火が付き、実演セミナーが開催されるなど復興が進みつつある。


コナン・ドイルの推理小説の中でシャーロック・ホームズが使う東洋の武術として「バリツ(baritsu)」が登場した。これは長年、架空の武術ではないかと考えられていたが、現在ではバーティツ(bartitsu)のスペルミスである説が有力である。

フェアバーン・システム

フェアバーン・システムは1910頃より、イギリス軍人のウィリアム・E・フェアバーンによって編み出された格闘術の総称。
古流柔術と中国拳法を基にしながら、射撃やナイフ術など現代の近接格闘に必要な要素を取り入れ、世界の軍隊格闘術の礎となった。

フェアバーン・システムの中でも初期に指導していた格闘術は「ディフェンドゥー」と名付けられており、護身と逮捕を目的としている。

また諜報機関と軍隊向けに、短期間で習得できるよう開発された「サイレント・キリング(無音殺傷法)」はナイフでの殺傷を軸としている。

コンバット・ホパック

コンバット・ホパックは1980年代、ウクライナの武術家によって開発された武道である。
ウクライナ地域の伝統武術や、民族舞踊に隠された武術の動きを研究し、それらをまとめ上げ体系化された。


コンバット・ホパックの戦闘ではコサックダンスのような蹴りも見られる。

バランタ

バランタはハンガリーの国民的武道である。
その内容は徒手格闘(レスリング)、さまざまな武器術、馬術を含み、また民族舞踊や文学とも融合しており、ハンガリーの伝統文化の非常に大きな部分を占めている。

フォークレスリング

北欧のグリマ、スイスのシュヴィンゲン、イングランドのランカシャースタイルなど、ヨーロッパ各地では古来より伝統的なレスリング(フォークレスリング)が執り行われてきた。
これらはやがて興行として人気を集めるようになり、その技術は現代のレスリングやプロレスにも受け継がれている。


アイスランドの国技であるグリマは相手のズボンを掴んで投げ技をうつことができ、相撲や柔道にも似た高い姿勢で闘う。競技用の他に護身術としてのグリマも存在する。

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