躰道(たいどう)

躰道(たいどう)は昭和の中頃に、琉球空手をベースにして作られた日本の武道である。
体操競技のようなアクロバティックな動きが特徴。競技化され全国に普及している。

躰道の成り立ち

躰道の創始者である 初代・祝嶺正献(しゅくみね せいけん) は1925年に沖縄で生まれ、幼い頃より(古流唐手)を学ぶ。

祝嶺は19歳で海軍に入隊し、特攻隊員として潜航艇に乗りこむ訓練を受けていた。しかしこの潜水艇はほぼ直線的な動きしかできず、敵にたどり着く前に撃沈される可能性が高かった。
祝嶺は「コマのようにぐるぐる回転したり、跳ねたり沈んだりしながら攻撃できたらよいのに…」と思案を巡らせていた。これが後の躰道の3次元的な動きの元となる。

昭和20年、出撃直前に終戦を迎え 生き延びた祝嶺は、無人島にこもるなどして理想の技の完成を試みる。
昭和28年、これまで学んだの技を体系づけ、さらにアクロバティックで独特な技を加えた新しい流派として「玄制流空手」をなのる。

その後10年に渡って全日本空手道連盟の発足に関わり、多くの関係道場で空手を指導してきた祝嶺だったが、自らの技を追い求めるうち、しだいに他の伝統空手とはかけ離れたものとなっていく。
ついには空手界と袂を分かち、1963年(昭和38年)に新しい武道「躰道」を創始した。

躰道は武道として、またスポーツとして全国に広まってゆき、1983年(昭和58年)には世界躰道連盟が設立された。

躰道の技術

開祖・祝嶺正献の「相手が予想しないことをするのが勝利の秘訣である」という哲学に則り、
躰道の攻撃は予測不能な動きが多く、奇襲技の宝庫ともいえる。

基本的な突きや蹴りは空手のものだが
躰道ではそれに 転 という五つの動きが加わっている。

「旋」…コマのように体を回しながら技を行う
「運」…飛びあがりながら技を行う
「変」…木が倒れるように体を倒しながら技を行う
「捻」…体を捻りながら技を行う
「転」…体を地上や空中で縦回転させながら技を行う

これらを組み合わせた立体的な動きで相手の攻撃をかわして戦う。
躰道では、急所が集中する体軸を 五つの動き(旋、運、変、捻、転)で守りながら、その動きでそのまま攻撃を行う。

空手の「受け」や「払い」では相手の攻撃をいなしてから反撃するため、タイムラグができてしまう。それに対して躰道では、回避と攻撃を同時に行うことができる。
ほとんどの技がカウンター技であり、威力が大きい反面、隙も大きくなっている


躰道はどんな人に向いてる?

競技として

躰道はマイナー競技ではあるが 小柄な人でもできるため女性の割合も多い。
アクロバティックな動きが多いので運動神経のいい人は習得しやすい。運動が苦手だけどこれから克服したい人や、子供にも向いている。
試合では技の美しさも考慮され、応援も盛り上がるので派手好きで目立ちたがり屋な人にはピッタリだ。

実戦では

躰道はアクロバットな動きのためスタミナが切れやすく、また狭いスペースでは戦いにくいなど弱点も多い。ただし相手の意表を突いたトリッキーな攻撃が多いため、奇襲技としてケンカに取り入れるなら優秀である。奇襲技をまとめた武道とも言える。

躰道は「小よく大を制す」の考えの元作られたので、小柄なものでも戦えるだろう。攻撃と回避が一体となっているため、刃物など武器を持った相手にも有効だ。

躰道を使う有名人

尾崎 豊(1965 – 1992)

若くしてこの世を去ったカリスマ的歌手。
幼い頃に父から躰道の手ほどきを受け、大会(少年の部)で優勝するなど活躍している。
ライブではマイクに向かって廻し蹴りを披露することもあった。

躰道に関連のある武術

カポエイラ
アクロバットな動きで急所を守りながら攻撃するスタイルは、躰道と非常に近い考え方である。

地功拳(地躺拳)
地面を転げまわりながら戦う変則的な拳法。
躰道と同じくアクロバットな動きのため、相手にとっては捕えにくく非常に戦いづらい。

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