形意拳

形意拳(けいいけん)は、内家を代表する中国拳法の一つ。

動物の動きを模した型と、強力な発勁が特徴。
実戦的で地味な動きが多いためスポーツ化はされていないが、中国国内で多くの門人を抱える。

形意拳の成り立ち

17世紀、槍の達人であった武術家の姫際可は、槍術の動きを素手での戦いに応用した拳術 心意拳を創始する。

心意拳の技法は厳選された優秀な者にのみ伝えられ、これをもとに戴氏心意拳心意六合拳など現代にも伝わる拳法が多く生みだされた。

19世紀、山西省の戴家で戴氏心意拳を学んだ李洛能は、これに独自の工夫を取り入れて形意拳を創始した。

当時、心意拳の技法は 親族や限られた優秀な弟子にのみ伝授するものであったが
李洛能は山西省で幾人もの弟子をとり形意拳を教え、のちに故郷の河北に帰り、そこでも教え広めていった。
そのため、形意拳には山西派河北派の2つの系統が生まれた。

形意拳はその実戦性の高さにより広まっていき、多くの高名な武術家を輩出した。

形意拳の技術

形意拳は接近戦を得意とし、独特の歩法から体全身を使って放つ強力な打撃が特徴である。
なるべく迅速に敵を倒すために、相手の防御や反撃にかまわず常に前進しながら技を繰り出し、攻め続ける。

実戦性を重視するため、見栄えのする大技が少なく、他の拳法と較べて地味でシンプルな型となっている。

武器術も充実しており、特にを用いることが多い。

歩法

形意拳では、鶏歩や跟歩といった独特の歩法(足さばき)を用いる。
この歩法に合わせて拳を打つことにより、打撃の威力とリーチを増幅させることができる。

五行拳

五行拳は、形意拳における5種類の基本技である。
それぞれが陰陽五行の金・水・木・火・土に当てはめて覚えられる。

劈拳(へきけん)(金行)
…鉈を振り下ろすように拳を打ち込む。

鑚拳(さんけん)(水行)
…錐のように拳を突きあげ、ひねり込む。

崩拳(ぽんけん)(木行)
…槍で突き刺すように拳を打ち出す。威力の高い突き。

炮拳(ぱおけん)(火行)
…片方の腕を上段受けのように上に引きながら、もう片側の拳で突くカウンター技。

横拳(おうけん)(土行)
…拳にひねりを加えながら、内から外へ半月上の軌道で打ち払う。


この5つの技には形意拳のすべてが集約されている。
シンプルに見えながらも非常に奥の深い型であり、練度を高めるほどに大きな戦闘力を発揮する。

十二形拳

十二形拳は、五行拳の応用形。

(サル)(カメ)(ハイタカ)タイ(ハヤブサ?)の12種類の動物の動きを模した象形拳となっている。

形意拳を使うキャラクター


加藤鳴海(からくりサーカス)


マリア(ハヤテのごとく!)


エリオット(デッド・オア・アライブ4)

形意拳に関連する武術

心意六合拳

心意六合拳も、形意拳とおなじく心意拳を基につくられた武術である。
鶏行歩と呼ばれる独特の歩法や、力強い打撃などが形意拳と共通している。

意拳

意拳は1920年代に創始された比較的新しい拳法である。大成拳とも呼ばれる。
古式形意拳をベースにしながらも、”套路(型)を持たない”という革新的な武術として注目を浴びる。
一定の姿勢を一時間以上も保ち続ける「站椿」と呼ばれる厳しい鍛練法を重視する。

八極拳

八極拳と心意拳は技法こそ異なるものの、
接近戦を得意とし、攻めに徹して強大な発勁を打ち込むなど戦い方が似通っている。
これは八極拳と心意拳がどちらもを主兵器とし、懐に入られたときや槍を取り落した時の補助として発生した拳法であるためと考えられる。

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